会社を立て直そうと思ったとき、多くの人はまず売上を増やそうと考えるかもしれません。
実際、当時の会社でもそうでした。
「もっと仕事を取ってこないと。」
そんな言葉をよく耳にしました。
でも私は違う考えでした。
まず取り組んだのは、売上ではなく経費でした。
理由は単純です。
売上は相手があって初めて増えるものです。
景気にも左右されます。
受注できるかどうかは、自分たちだけでは決められません。
一方で、経費は違います。
会社がその気になれば、今日からでも変えられます。
だから私は、まず会社のお金の使い方を全部見直そうと考えました。
会社のお金の使い方を見直し始めると、思っていた以上に見直せるものがありました。
契約内容を一つひとつ確認し、本当に必要なのかを考え直しました。
いくつか例を挙げます。
一つは、低圧電力の契約です。
何十年も前に廃却した設備の契約が、そのまま残っていました。
設備はもう存在しないにもかかわらず、毎月約7万6,000円の基本料金だけを払い続けていたのです。
契約内容を見直し、不要な契約を解約しました。
もう一つは、保険です。
当時は、バブル期に契約した役員を被保険者とする生命保険が数多く残っていました。
保険料は毎月約62万円。
契約内容を一つひとつ確認し、本当に必要なものだけを残すことにしました。
その結果、毎月約56万円の保険料を削減することができました。
さらに、解約によって受け取った返戻金は、そのまま借入金の返済に充てました。
会社にとって必要な保障は残しながら、固定費を減らし、借入金も減らす。
一つの見直しで、二つの効果が得られたことになります。
もちろん、見直したのはこの二つだけではありません。
駐車場の契約、業務用車両の台数、加盟している団体の会費、IT化による紙代の削減など、一つひとつ見直していきました。
当時の私は、100万円の経費だけを見ていたわけではありません。
100円でも無駄だと思えば見直しました。
「100円くらいならいい。」
その積み重ねが、会社の利益を少しずつ削っていくと考えていたからです。
経費は金額の大小ではありません。
無駄を当たり前にしないこと。
それが会社の体質を変える第一歩だと思っていました。
経費削減というと、我慢することのように聞こえるかもしれません。
でも私にとっては違いました。
会社に残るお金を増やすための活動です。
利益が残れば、社員に還元できます。
設備投資もできます。
新しいことにも挑戦できます。
だから経費削減は目的ではありません。
会社を強くするための手段でした。
おわりに
今振り返っても、会社を立て直す最初の一歩を経費削減から始めた判断は間違っていなかったと思います。
ただ、今振り返ると、それら以上に会社の利益へ大きな影響を与えていたものがありました。
それが、外注費でした。
次回予告
決算書を見返すと、私が最も違和感を覚えた科目がありました。
なぜ外注費がこれほど多いのか。
その理由を調べ始めたことが、会社の利益構造を見直すきっかけになりました。