経費の見直しを一つずつ進めた結果、会社の収益は少しずつ改善していきました。
2014年度は約1,750万円の経常赤字だった会社は、翌2015年度には約1,560万円の黒字へと転換します。
もちろん、外注費だけが理由ではありません。
固定費の削減や発注ルールの見直しなど、小さな改善を積み重ねた結果でした。
一方で、支出を減らすだけでは会社は成長できません。
利益を増やすためには、売上をどう作るかも考える必要があります。
そこで次に取り組んだのが、見積りの見直しでした。
製造業では、製品の見積価格を、
製品価格 =(材料費+外注費+労務費+設備費やその他経費)×利益係数
という考え方で算出することが多いと思います。
ところが、当時の社内には見積り方法についての決まりがありませんでした。
見積り担当者によって、計算の仕方が違っていたのです。
工程を細かく分け、それぞれの加工時間を積み上げて見積りを作る几帳面な人もいました。
一方で、
「この手の製品なら、1トン20万円くらい。」
と、製品の重量から大まかな価格を決める人もいました。
どちらも、それまでの経験をもとにした見積りです。
ただ、その方法では、誰が担当するかによって見積金額が変わってしまいます。
会社として仕事を受ける以上、誰が見積りをしても、ある程度価格がそろう方法が必要でした。
そこで、社内の見積り方法を統一することにしました。
基本となる考え方は、
製品価格 =(材料費+外注費+労務費+設備費やその他経費)×利益係数
です。
材料費や外注費は、材料屋さんや協力会社に見積りを依頼すれば分かります。
問題は、労務費でした。
労務費は、
加工時間 × 時間チャージ
で計算します。
では、その時間チャージをいくらにすればいいのか。
社内に基準はありませんでした。
そこで、会社の経費や年間の労働時間などから逆算し、会社を維持するために必要な時間チャージを算出することにしました。
その結果、算出された時間チャージは4,446円でした。
しかし、ここで新たな疑問が生まれます。
この時間チャージで見積りを作ったとき、本当に仕事は受注できるのだろうか。
会社を維持するためには4,446円が必要。
でも、お客様がその金額を受け入れてくれなければ仕事はなくなります。
つまり、
利益が出る時間チャージと、受注できる時間チャージは、必ずしも同じではありません。
この差をどう埋めるか。
それが、次の課題でした。
時間チャージの具体的な算出方法については、実践編②で詳しく紹介したいと思います。