第4話では、会社として初めて時間チャージを計算し、4,446円という数字が出たところまでを書きました。
今回は、その時間チャージをどのような考え方でどのようにして計算したのかをもう少し詳しく紹介します。
なお、時間チャージの計算方法に絶対的な正解はありません。
ここで紹介するのは、私が当時考え、実際に運用した方法です。
時間チャージを決める前に考えたこと
まず考えたのは、
「会社が1年間続くためには、いくら売り上げる必要があるのか。」
ということでした。
会社は1年間で、
- 材料を購入する
- 従業員へ給与を支払う
- 工場を維持する
- 事務所を運営する
- 借入金の利息を支払う
など、さまざまなお金を使います。
当然ですが、それらを上回る売上がなければ会社は続きません。
そこで、
1年間の会社経営に必要なお金を、製品を通してどのように回収するか。
これを考えることから始めました。
売上は何でできているのか
見積書を見ると、売上は一つの金額ですが、中身は大きく二つに分けられます。
- 製品の製造に直接かかる費用
- 加工によって生まれる価値
例えば、材料費や外注費は、製品ごとにそのままお客様へ請求できます。
一方で、工場の維持費や管理部門の人件費、設備の減価償却費など、製品ごとに直接請求できない費用も会社には数多くあります。
これらの直接請求できない費用を、加工時間を通じて回収するために時間チャージがあります。
つまり、
見積の基準金額 = 製品の製造に直接かかる費用 +(加工時間 × 時間チャージ)
という考え方です。
実際の見積では、この基準金額に案件ごとの利益を加えて見積金額を決めていました。
会社全体から逆算する
では、時間チャージはいくらにすればよいのでしょうか。
私は、
利益係数を1.00としたときに、会社の経常利益がちょうど0円になる時間チャージ
を求めることにしました。
言い換えれば、
会社が赤字にも黒字にもならない最低ラインです。
この計算をするために、
会社全体の
- 材料費
- 労務費
- 製造経費
- 販売費及び一般管理費
- 営業外収益
- 営業外費用
を集計し、年間で必要となる金額を算出しました。
次に必要なのは「請求できる時間」
ここで注意しなければならないのは、
従業員が会社にいる時間と、お客様へ請求できる時間は同じではない
ということです。
朝礼や掃除、段取り、打合せ、設備保全、管理業務など、会社には売上にならない時間が数多くあります。
そのため、年間労働時間をそのまま使うのではなく、
実際に加工費として回収できる時間
を算出し、その時間で会社全体の必要金額を割ることにしました。
その結果、
時間チャージは4,446円という数字になりました。
この数字だけでは見積はできない
ここで求めた4,446円は、
会社が経営を維持するために必要な最低限の時間チャージです。
つまり、この金額で見積を作れば必ず利益が出る、という意味ではありません。
実際には、市場価格や競合他社との価格差、お客様が受け入れられる価格なども考えなければなりません。
時間チャージは、会社が必要とする金額を示すもの。
市場が受け入れる価格とは、また別の話です。
私は、この両方の視点から検証することが大切だと考えています。
この「会社が必要とする価格」と「市場が受け入れる価格」の間にあるギャップを、当時どのように埋めていったのか。
その話は、第5話で書こうと思います。